キンシ正宗堀野記念館

京の造り酒屋と町家文化の博物館

天明元年(1781)創業の造り酒屋で、間口6間半の木造ツシ2階建の町家の奥に南から文庫蔵・天明蔵(酒蔵)・北蔵(ビール工場)が並びます。京都中心部に残る酒造業者の居宅の遺構として重要です。

主屋1階は上手に2段2列に部屋を配し、その奥に水回り・階段などを張り出した構成で、2階は表側に4室並べ奥に座敷と控えを配します。一般的な町家は明治中期以降、1階座敷よりも2階座敷を立派につくる傾向がみられ、その大部分は2階座敷を数寄屋風に造られます。しかし当家は1階座敷を数寄屋的な意匠でまとめ、2階座敷を本格的な書院座敷としており、独自性が見いだせます。

天明蔵は2階建の本瓦葺で、棟持柱を中央に配置し棟木を支える構造に古い形式がみられます。1階部分は中央に新たに間仕切壁を設け、北側を店舗に改装しています。また南の文庫蔵は2階建の本瓦葺で、桟瓦葺の庇を持ちます。内部の保存状態は良好で当初形態をよく残しています。