京都昭和史の貴重なインデックス
フランソア喫茶室の施主である立野正一氏は、昭和前期に社会主義運動に身を投じていたといい、当時は表立ってできなかった思想、哲学、芸術を自由に語り合えるサロンとなるように意図して建築されたようです。
京大の教授や学生が主な利用者で、藤田嗣治をはじめ、多くの芸術家もここへ集いました。当建物は、昭和16年(1941)に住居を兼ねていた町家を改修して建てられ、京都大学建築学科に留学していたイタリア人ベンチベニ氏が設計を担当しました。店の名前は、立野氏が傾倒していたジャン・フランソワ・ミレーからとったといわれています。
建物の軒部分はスパニッシュ瓦で装飾され、軒下にはロンバルト風の帯飾りがあります。一階窓の一部が尖頭アーチや二連アーチ窓となり、2階縦長窓にも尖頭アーチをモチーフとしたモールドディングが施されています。内部意匠はねじり柱等を多用したイタリアン・バロック風で、豪華客船のキャビンを想定して設計されたといわれています。店内に飾られた絵画も、司馬江漢をはじめ貴重なものが残されています。
登録内容
- 年代
- 昭和16年(1941)
- 構造及び形式
- 木造2階建、瓦葺
- 建築面積
- 40㎡
- 登録の基準
- 1
その他データ
- 所在地
- 京都市北下京区西木屋町通四条下る船頭町184
- 営業・開館・拝観時間
- 10:00〜23:00
- 定休日
- 12月31日と元日のみ
- 電話番号
- 075-351-4042
- WEBサイト
- http://www.francois1934.com