床紅葉に床緑・四季をうつす門跡寺院
実相院は天台宗寺門派の門跡寺院で、岩倉門跡とも呼ばれます。寛喜元年(1229)に創建され、当初は今の北区紫野上野町にあったと伝えられています。その後、上京区実相院町に移りましたが、応仁の乱の戦禍に巻き込まれたため、現在地に移転しました。
現在ある客殿と門は、享保6 年(1721) に承秋門院御所の旧御殿の一部を移築したものです。移築については「実相院日記」に記されており、詳しい経緯を知ることができます。当日記には客殿を能舞台として使用した記録があり、当初より客殿に拭い板(表面を綺麗に仕上げた板) を敷いた部屋があった可能性が窺えます。現在、この板は「床紅葉」、「床緑」と呼ばれ、紅葉や深緑の時期にはその景色が床に映り込む美しい様がご覧になれます。
実相院の敷地には二つの庭園が設けられています。一つは、奥の書院と客殿の間にある池を中心に構成された池泉回遊式庭園で、裏山を背景として四季折々の表情をみせる庭です。もう一つは、石組みによる枯山水の庭で、背景の山々を借景として、桜や紅葉の頃に美しく彩られる庭です。実相院は中宮御所の数少ない遺構であり、敷地にあわせて手を加えられ現在に残る貴重な門跡寺院といえます。
登録内容
- 登録対象
- 客殿・門
- 年代
- 亨保6年(1721)
- 構造及び形式
- 客殿:木造平屋建て、瓦葺 門:木造四脚門、瓦葺、両袖塀付
- 建築面積
- 客殿:362㎡ 門:間口 5.1m
- 登録の基準
- 客殿・門:2
その他データ
- 所在地
- 京都市左京区岩倉上蔵町121
- 営業・開館・拝観時間
- 9:00〜17:00
- 入場料・入館料・拝観料
- 大人500円 小中学生250円
- 電話番号
- 075-781-5464
- WEBサイト
- http://www.jissoouin.com