民藝風意匠を取り込んだ陶芸家の家
河井寛次郎の弟子である陶芸家・上田恒次(1914-1988)の邸宅として、上田自身の手により設計された建物です。民芸運動に参加したメンバーの設計で居宅・建物・工房・窯が一体として残っている貴重な建物です。
昭和12年(1937)の建設当初は、主屋の西側半分が建てられていました。工房としての利用を考慮して建てられ、囲炉裏を設けた座敷と土間及び玄関が設けられて、東側には登窯がつくられていました。昭和17年(1942)の居住区拡充に伴い、主屋の東側半分が増設されて、登窯は主屋の南に移されています。
主屋の西側部分はベンガラ塗りのむしこ窓が設けられ、外に見える梁の木口は胡粉で白く塗られています。丹波地方の民家の意匠を採り入れたと伝えられ、装飾性豊な外観となっています。また、昭和17年の増築部分は、戦時下でベンガラの入手が困難であったために外観が黒く塗られたといわれています。なお、同時期には登窯に上屋が建てられ、現在みられる外観になりました。
登録内容
- 登録対象
- 主屋・登窯
- 年代
- 主屋:昭和12年(1937)/同17年(1942)頃増築 登窯:昭和12年(1937)
- 構造及び形式
- 主屋:木造2階建、瓦葺、地階付 登窯:煉瓦造、上屋付
- 建築面積
- 主屋:145㎡ 登窯:14㎡
- 登録の基準
- 主屋:1 登窯:1
その他データ
- 所在地
- 京都市左京区岩倉木野町170